この記事では、
- 「あの時に我慢しておけばよかった。」
- 「先送りしなければよかった。」
と言う後悔の元となる人の心理の部分。
「双曲割引」について紹介します。
「やっておけばよかった後悔」誰にでもありますよね。
すぐやった方がいいとは分かっているのに、ついつい目の前の欲に負けてしまう。
「ダイエットは明日から」
なんていう誰もが知っている名言。
その背景には「双曲割引」という人の行動パターンがあることが、行動経済学で定義されています。
この「双曲割引」の意味と理由をしっていることで、なぜ「先送り」や「ダイエット失敗」が起こるのか理解が出来ます。
後悔を少しでも減らして、目の前の欲に対してブレーキを踏む。
ロボットの様に、全ての行動に欲を全く殺して合理的な行動と言うわけにはいきませんが。
そういったことがあるということを知ることで、少しでも後悔を減らし、自分を責めるのをやめましょう。
そして、次の行動を気軽に始められるようになりましょう。
行動経済学にある「双曲割引」と言う用語
「「双曲割引」とは将来の価値を今の価値と比べて割り引いて考える心理」
と言うことになりますが、今一良く分からないですよね。
誰にでもあり得ることで、「合理的に正しい判断」ではない、感情による「非合理的な判断」をしてしまい、後悔する原因の一つです。
具体的にはどんなこと?
「1年後に1万1000円もらうのと、今すぐに1万円をもらえる場合」
こんな状況の場合についつい目の前の1万円を選んでしまう。
これが「双曲割引」による判断です。
ちょっと我慢して1000円でも多くもらったほうが得なのですが、実際にその状況になると1万円を選んでしまうというもの。
行動経済学の用語です。
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日常にありがちな「双曲割引」の例とは?
上記のように、目の前の利益を優先して将来の利益を安く見積もってしまう、日常にある双曲割引の影響。
(1万円もらえることなんて事は、まずないですが(汗))
あなたも思い当たる部分があるのでは?
ダイエットの成功とケーキの満足
こちらはよく聞く話だと思います。
今、目の前にある「ケーキを食べる満足」と「ダイエットの成功」どちらが大切かと聞かれたら、一般的には「ダイエットの成功」のほうがかなり大事ですよね。
分かってはいるのに、中々上手く行かない理由が双曲割引によるもの。
と言うのは、「ダイエットの成功」には長い時間が必要。
健康的に体重を減らすとしたら、年単位で考える必要も。
そのため、「双曲割引」の影響によって価値が割り引かれてしまいます。
それに対して「ケーキを食べる満足」は今すぐに得ることが出来るので、割引は無し。
結果的に、時間のかかる「ダイエットの成功」はすぐに得られる「ケーキを食べる満足」よりも価値が下がってしまう。
だから、「ダイエットは明日から」と言うセリフが出てきて、行動が起きないということになるんですね。
「物欲」と「金利」
目の前に欲しいものがあったとしますよね。
それを買うだけのお金が無い。
そこでクレジットカードを使い、更に分割払いにしてしまう。
キャッシングをしてお金を用意する。
結果的には金利がつくために、数ヵ月後には金利によって、買った値段よりも高い金額を払うことに。
数ヵ月後の「商品代+金利」の価値が下がりキャッシングなどで結果的に多くお金を払ってしまう。
我が家もこれで苦しみました。
借金があり、返済に苦しみ、今の辛さから逃げるために更に借金に頼って。。。。
結果的には期限を守っての支払いが出来ず信用情報の焦げ付き(ブラックリスト入り)に。
いわゆる先送り体質ですね。
「先の健康」よりも「タバコ・酒」
タバコやお酒の飲みすぎはやめたほうが健康にいいことは誰の目にも明らか。
ところが、中々やめられないというのも事実。
将来の健康と言うのは分かり難いもの。
いつ健康を損なうか分からないから、尚更価値が割り引かれる。
ただし、いざ大病を患ったりすると、今までどうやってもやめられなかったものがスパッとやめられる。
大病の経験をしたからこそ、その健康が身近になり、価値が一気に上がる。
タバコやお酒の目の前の満足よりも健康の価値が勝るようになるんですね。
ちなみに私の父もそうでした。
父は子供(私)が生まれようと、孫が生まれようとタバコをやめる気配は全く無し。
ところが心筋梗塞で倒れてから、ピタッとタバコをやめました。
今じゃ近くで吸うと文句を言うくらいです(笑)
双曲割引はどれほど未来が安く見積もられるのか?
「双曲割引」によってどれほど未来の価値が安く見積もられるかと言うのは一概には言えません。
近い未来ほど割引率は大きくなり、次第に割引率は下がっていきます。
図のように割引率の変化が双曲線の形を取ることから「双曲割引」と呼ばれています。
時間が経てば経つほど価値が減らない
「双曲割引」は双曲線の形(図参照)なので、近い将来のほうが割引率は大きいところが要注意ですね。
そして、先の話になればなるほど割引率は小さくなります。
「今日なのか、明日なのか?」と言う話だと、一刻も早くとなりますが、
「100日後なのか、101日後なのか?」と言う話になるとその差はほとんど気にならなくなるという特徴が有ります。
「双曲割引」に抵抗し、割引率を小さくするのは知識
冒頭の例より、「今日上げる1万円と1年後にもらえる1万1,000円どちらを取る」
これについて、お金を増やす方法として投資を考えた場合、1年間の運用で1万円の10%である1,000円を増やすことは中々現実的ではないですよね。
そういった風に知識を得て、考えられるようになるとせっかく1年後にもらえる1万1,000円と言うチャンスを逃さなくなりますね。
まとめ
人は自分でも認識していない心理として、「双曲割引」と言う部分を持っています。
「将来の価値を今の価値と比べて割り引いて考える心理」
そして
「価値の割引率は近い将来のほうが大きい。」
と言うもの。
例えば、禁煙やお酒をやめるのが大変なことを説明するのにも役立ちます。
誰しもがタバコ、お酒の飲みすぎは体によくないと分かっている。
ところが、将来の健康へのリスクに目をつむって、「一本だけ」「一杯だけ」と手を出してしまう。
無意識の中で将来の健康の価値を割り引いてしまっているんですね。
そして、私も「将来の健康の価値」を割引き、「目の前の一本の満足」に囚われている1人です。
そういったことに対処するには知識も必要です。
前述ですが、今日の1万円よりも1年後の1万1,000円を取るためには、投資運用によって
「年間で10%の利回りが難しい」
ということを知ること。
それによって目の前の1万円を我慢し1万1,0000円を手に入れることが出来ます。
しっかり色々学び、ちゃんと武装して生き抜いていきましょう。
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